学校法人自由学園が2025年度よりリニューアルする制服をCLOUDYが共同で制作しました。
「人に伝えたい制服」をコンセプトに、学生が発案したデザインを基にした制服です。
再生素材を使用し、環境への配慮を示すとともに、理念がボタンに刻まれるなど、細部にわたる工夫が施されています。
さらに制服の購入金額の3%はガーナで活動する特定非営利活動法人CLOUDYに寄付をされ、学校給食や女性の生理用品セットとしてガーナで活用されます。
寄付金の使途も、全校生徒で議論を重ね、決定しました。
また卒業後には循環できる制服として入学してくる後輩に譲渡できる仕組みをつくったり、使わなくなった制服は別の形にリメイクし、持ち続けることができたりと、卒業後も無駄にしない形を検討しています。
CLOUDYと自由学園のコラボレーションの背景はこちら
新制服について
◾️新制服のこだわり
「人に伝えたい制服」をコンセプトに据え、生徒たちは「意味を伝えたい」「形を伝えたい」という2つの視点で新制服を制作しました。
<こだわったポイント>
・生徒とデザイナーによるデザインの共同制作
デザイナー任せのデザインから選ぶのではなく生徒自身がアイデアを出し合い、ガーナのデザイナーと共に試行錯誤を重ねて完成させました。特に、学校のスクールカラーや校歌のモチーフを効果的に取り入れ、学校の伝統や変化を表すものに仕上げています。
・環境に配慮した再生素材の使用
持続可能な未来を考え、リサイクル素材を積極的に採用しています。
・ガーナ人のデザイナーによるオリジナルテキスタイル
異文化との融合を取り入れ、グローバルな視点を持つデザインになっています。デザイナーはCLOUDYに所属するガーナ人のデンチ氏です。
・理念が刻まれたボタン
自由学園の理念「Thinking Living and Praying(思想しつつ 生活しつつ 祈りつつ)」を形にし、日々その精神を感じながら過ごせる仕掛けになっています。
・裏地の柄や隠しポケットチーフ
普段は見えない部分にもデザインのこだわりを持ち、フォーマルな場面でも活用できるようにエレガントさと式服の高貴なイメージをキープしています。
・制服の譲渡
卒業後、後輩に譲れる仕組みを整え、一着の制服が次の世代へと受け継がれる形を検討中です。
・新しい形への再構築
役目を終えた制服は、別の形に変わり、思い出とともに使い続ける形を検討中です。
・制服の購入金額の3%を特定非営利活動法人CLOUDYに寄付
ガーナで活動する特定非営利活動法人CLOUDYに寄付をし、学校給食や女性の生理用品セットとしてガーナで活用されます。寄付金の使途も、全校生徒で議論を重ね、決定しました。
リボン・裏地・チーフのデザイン、ネクタイ・ボタンのデザイン。ネクタイとリボンのカラーはこれまで女子校と男子校に分けられていたそれぞれの学園が大事にしているカラーを使用している。
◾️新制服の写真
完成を記念して、生徒が学校内のお気に入りの場所で制服の撮影をしました。撮影はCLOUDYのカメラマンであるガーナ人のロナ氏が来日して担当しました。
・中等部校舎1階(中1 Yさん)
中等部校舎1階を選びました。ここは学園で一番気に入っている場所です。友情や恋愛、全ての物語を作ってきてくれました。恋愛は僕じゃないですけど笑。
・校内を流れる小川にかかる橋(中3 Rさん)
校内には畑があり、いろいろな作物を育てていますが、その傍らにはきれいな小川が流れています。ここは学園のどこよりも空気がすごい澄んでいて、沢山の思い出が詰まっていて、私にとっての自由学園を表す場所です。世界中の人に自由学園の良さを写真を通して感じてほしいです。
・記念体育館(高2 Hさん)
記念体育館を選びました。僕はバスケットボール部とアメリカンフットボール部を兼部しています。フロアではバスケの練習を、2階のジムではトレーニングを、毎日の放課後に頑張っていて、とても思い出が強い場所です。
・自由学園みらいかん(高2 Kさん)
2017年度に完成した自由学園みらいかんは、70年間生徒が育ててきた木が建材や家具に用いられています。初等部の時からお世話になったこの場所で、私たちが次世代や環境問題に対しての希望を抱き作り上げてきた制服を撮影したいと考えました。
・高等部食堂(中3 Bさん)
東京都指定文化財でもある食堂を選びました。男女別学だった昨年度までは女子部で使っていたので、入学以来毎日昼食を食べた場所です。私の中で一番自由学園っぽくて、ここにいると歴史を感じて、学園生なんだなーと感じられる場所です。
・記念図書館(高2 Aさん)
記念図書館には7万冊を超える蔵書と十分な閲覧スペースがあり、中高生や大学生が使用しています。この図書館は風景に溶け込む美しさと建築美、そして内装の綺麗さが魅力で、僕のお気に入りの場所のひとつです。
今後の制服の展望
今後、制服そのものが、社会や生徒たちとともに未来の循環を考えられる存在になってほしいと願っています。
ただ廃棄するのではなく、新たな息吹を吹き込める制服へと生まれ変わること。
生徒たちが感じる社会の問題に対して声を上げ、発信できること。
そして、学園の素晴らしさを伝え続けられること。
CLOUDYとしては生徒の皆さんには、この制服を通じて、学園の豊かな歴史や美しい環境、制服に込められた想い、そして自分たちが大切にしていることを伝え続けてほしいと考えています。
また、今この社会で起きているさまざまな問題に向き合い続ける姿勢を育んでいけるよう、この制服の未来に大きな期待を寄せています。